暗号資産(仮想通貨)取引で利益が出たときの税金は|特徴、発生するタイミング、計算方法、注意点まで詳しく解説
暗号資産(仮想通貨)取引を行っている方のなかには、取引が上手くいき利益が出ている方も多いのではないでしょうか。取引で出た利益は所得と見なされるので、利益額によっては課税対象となります。正しく申告・納税しなくてはいけないので、暗号資産(仮想通貨)取引にかかる税金を理解しておかなければなりません。
今回は、暗号資産(仮想通貨)取引で出た利益にかかる税金について、特徴や発生するタイミング、計算方法、注意点まで解説します。現在は利益が出ていない方も将来的に利益が出たときのためにしっかり理解しておきましょう。
目次
暗号資産(仮想通貨)で20万円以上の利益が出ると申告が必要
暗号資産(仮想通貨)で利益が出た場合、金額に関わらず課税対象となるわけではありません。20万円以上の利益が出た場合に課税対象となり、申告する必要があります。
暗号資産(仮想通貨)の利益は雑所得に分類されるため、そのほかの雑所得がある場合には注意が必要です。暗号資産(仮想通貨)のみの利益であれば問題ありませんが、他のビジネスの雑所得がある場合は、暗号資産(仮想通貨)の利益と合算して20万円を超えると申告しなくてはいけません。
暗号資産(仮想通貨)の利益にかかる税金の特徴
暗号資産(仮想通貨)の利益にかかる税金には、以下のような特徴があります。
- 総合課税
- 累進課税
どのような税金であり、どのように取り扱われるのかを詳しくチェックしていきましょう。
総合課税
総合課税とは、他の所得額と合計した額に課税されることを言います。例えば、会社の給与所得と暗号資産(仮想通貨)の雑所得がある場合は、2つの所得を合計した額が課税対象です。
暗号資産(仮想通貨)と同じ投資でも、FXや株式による所得は取り扱いが異なります。FXや株式で得た所得は、他の所得とは合算されません。
累進課税
暗号資産(仮想通貨)による利益には、累進課税制度が適用されます。所得額が多くなるほど税率が高くなる制度であり、暗号資産(仮想通貨)の利益が多くなるほど税金がかかると言い換えることができるでしょう。
累進課税制度の詳細は、以下の表を参考にしてみてください。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000~1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円~ | 45% | 4,796,000円 |
参照:国税庁「所得税の税率」
暗号資産(仮想通貨)の利益に税金が発生するタイミングと計算方法
暗号資産(仮想通貨)の利益に税金が発生する主なタイミングは、以下の通りです。
- 暗号資産(仮想通貨)を売却したとき
- 暗号資産(仮想通貨)で何らかの商品やサービスを購入したとき
- 暗号資産(仮想通貨)を使って他の暗号資産(仮想通貨)を購入したとき
- マイニングで暗号資産(仮想通貨)を手に入れたとき
タイミングを詳しく理解するとともに、計算方法も詳しく見ていきましょう。
暗号資産(仮想通貨)を売却したとき
暗号資産(仮想通貨)を売却すると、利益と損失が確定するので、その時点で課税の対象となります。
計算式は、以下の通りです。
暗号資産(仮想通貨)の売却金額 – 購入金額 = 利益(課税対象) |
暗号資産(仮想通貨)を決済したとき
暗号資産(仮想通貨)で何らかの商品やサービスを購入した際にも、所得と税金が発生します。日本円に一度換金するというステップが発生するためで、暗号資産(仮想通貨)の価値が購入時よりも上がっていれば、差額分が利益となり、課税対象になります。
計算式は、以下の通りです。
暗号資産(仮想通貨)で購入したものの金額 – 暗号資産(仮想通貨)の購入金額 = 利益(課税対象) |
暗号資産(仮想通貨)を使って他の暗号資産(仮想通貨)を購入したとき
保有している暗号資産(仮想通貨)で他の暗号資産(仮想通貨)を購入したタイミングで、利益・損失が確定します。交換後の暗号資産(仮想通貨)の価値が購入金額を上回っていた場合は課税対象です。
計算式は、以下の通りです。
他の暗号資産(仮想通貨)の交換価格 – 暗号資産(仮想通貨)の購入金額 = 利益(課税対象) |
マイニングで暗号資産(仮想通貨)を手に入れたとき
マイニングとは、取引を承認する作業を行い、その報酬として新たな暗号資産(仮想通貨)を得ることを指します。この方法で暗号資産(仮想通貨)を手に入れた場合にも税金が発生することを覚えておきましょう。
計算式は、以下の通りです。
報酬を受け取ったときの暗号資産(仮想通貨)の価値 – マイニングにかかった費用 = 利益(課税対象) |
暗号資産(仮想通貨)の利益にかかる税金の申告に必要な書類
暗号資産(仮想通貨)の利益が20万円以上になった場合、確定申告が必要になります。確定申告では、収支や経費を証明する書類が必要になるので、申告に向けてしっかり準備しておきましょう。
主な必要書類は、以下の通りです。
- 1年間の収支がわかる書類
- 1年間の取引がわかる書類
- 1年間の経費がわかる書類
- 経費を証明する領収証
- 暗号資産(仮想通貨)を使用したときの領収証
暗号資産(仮想通貨)の利益にかかる税金の取り扱いの注意点
暗号資産(仮想通貨)の利益にかかる税金が発生した場合、正しく申告・納税をする必要があります。その際、2つの注意点がありますので、正しく理解して適切に取り扱いましょう。
- 申告漏れはNG
- 損失が出たときの取り扱い
申告漏れはNG
暗号資産(仮想通貨)による利益は、必ず申告しなくてはいけません。手続きには時間や手間がかかりますが、納税は国民の義務であり、申告漏れはNGです。
国税庁の監査によって申告漏れが発覚してしまうと、利益にかかる税金とは別に、延滞税や無申告加算税が課税されます。ペナルティを受けないためにも、欠かさずに申告を行いましょう。
損失が出たときの取り扱い
暗号資産(仮想通貨)の取引を行っていると、利益が出るばかりではなく、損失が出ることもあるでしょう。もし損失が出た場合、暗号資産(仮想通貨)では給与所得など他の所得と相殺することはできません。
また、発生した損失を翌年以降に繰り越せないことにも注意が必要です。損失の繰り越しについては株式売買では3年の繰り越しができるので、暗号資産(仮想通貨)の取引と混同しないように気を付けましょう。
まとめ
暗号資産(仮想通貨)で利益が出た場合、利益が20万円を超えると課税対象になります。税金は、暗号資産(仮想通貨)の売却や使用、交換、マイニングのタイミングで発生し、それぞれのタイミングで税金が算出されるのが仕組みです。必要書類や注意点をしっかりおさえて、利益が出た際にはしっかり申告・納税を行いましょう。
